会計フロー · 金融商品
金融商品の会計フロー
取引を選ぶと、その金融商品が範囲・当初認識から表示・開示まで 1 本の流れで会計処理を辿る様子が見えます。 各ステップの解説は再利用可能な論点ユニットとして外出しし、複数の取引から共通参照します。 論点の位置関係を地図で俯瞰したい場合は 金融商品の会計マップへ。
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資金調達
資産の移転
債券投資
余資で社債・国債を購入して保有する
- 取得時 金融商品の範囲・当初認識 比較 ♻ 共通ユニット
金融商品に該当するか・約定日/受渡日のいつ認識するか・取得価額に取引費用を含めるかを確認する。
解説を見る 出典: 企業会計基準第10号・移管指針第9号 / IAS 32/IFRS 9 / ASC 825-10 ほか商品別基準
- 取得時 金融資産の分類・測定 比較 ♻ 共通ユニット
事業モデルと SPPI 要件で 償却原価/FVOCI/FVTPL を判定する。
解説を見る 出典: 企業会計基準第10号 / IFRS 9.4.1 / ASC 320/321
- 保有中 償却原価・実効金利・条件変更 比較 ♻ 共通ユニット
償却原価区分なら実効金利法で利息を認識し、プレミアム/ディスカウントを期間配分する。
解説を見る 出典: 移管指針第9号 / IFRS 9(EIR・B3.3.6) / ASC 310-20/470-50
- 各期末 公正価値測定 比較 ♻ 共通ユニット
FVOCI・FVTPL なら各期末に時価評価する(FVOCI は OCI、FVTPL は純損益)。
解説を見る 出典: 企業会計基準第30号 / IFRS 13 / ASC 820
- 各期末 減損(予想信用損失・ECL/CECL) 比較 ♻ 共通ユニット
償却原価・FVOCI の負債性金融商品は ECL の対象。ステージ判定を行う。
解説を見る 出典: IFRS 9.5.5 / ASC 326/ASU 2016-13 / 企業会計基準第10号
- 売却・満期 認識の中止・移転・継続的関与 比較 ♻ 共通ユニット
認識を中止する。FVOCI は OCI 累計額を純損益にリサイクリングする。
解説を見る 出典: 企業会計基準第10号 / IFRS 9.3.2 / ASC 860
- 各報告日 表示・相殺・開示 比較 ♻ 共通ユニット
金融資産として表示し、相殺要件を満たす場合は純額表示を検討する。
解説を見る 出典: 移管指針第9号第140項 / IAS 32.42 / ASC 210-20-45-1
株式投資
他社の株式を取得して保有する
- 取得時 金融商品の範囲・当初認識 比較 ♻ 共通ユニット
金融商品該当性と当初認識・当初測定(取引費用の扱い)を確認する。
解説を見る 出典: 企業会計基準第10号・移管指針第9号 / IAS 32/IFRS 9 / ASC 825-10 ほか商品別基準
- 取得時 金融資産の分類・測定 比較 ♻ 共通ユニット
持分性金融商品は原則 FVTPL。一定要件で FVOCI を選択できる(リサイクリングなし)。
解説を見る 出典: 企業会計基準第10号 / IFRS 9.4.1 / ASC 320/321
- 各期末 公正価値測定 比較 ♻ 共通ユニット
公正価値で測定。変動は純損益(FVTPL)または OCI(FVOCI 選択時)。
解説を見る 出典: 企業会計基準第30号 / IFRS 13 / ASC 820
- — 減損(予想信用損失・ECL/CECL) 比較 ♻ 共通ユニット このフローでは対象外
持分性金融商品は ECL の対象外(時価変動で取り込み済み)。
解説を見る 出典: IFRS 9.5.5 / ASC 326/ASU 2016-13 / 企業会計基準第10号
- 売却 認識の中止・移転・継続的関与 比較 ♻ 共通ユニット
認識を中止する(FVOCI 選択株式はリサイクリングなし)。
解説を見る 出典: 企業会計基準第10号 / IFRS 9.3.2 / ASC 860
- 各報告日
借入・社債発行
借入金・社債で資金を調達する
- 発行時 金融商品の範囲・当初認識 比較 ♻ 共通ユニット
金融負債として公正価値(通常は受取額)で当初認識する。償却原価区分では取引費用を控除し、FVTPL/FVO では取引費用を費用処理する。
解説を見る 出典: 企業会計基準第10号・移管指針第9号 / IAS 32/IFRS 9 / ASC 825-10 ほか商品別基準
- 発行時 金融負債の分類・測定 比較
償却原価/FVTPL/公正価値オプション(FVO)を判定する。日本基準に FVO はない。
解説を見る 出典: 企業会計基準第10号・移管指針第9号 / IFRS 9/IAS 32 / ASC 825/470/480
- 保有中 償却原価・実効金利・条件変更 比較 ♻ 共通ユニット
償却原価区分は実効金利法で利息費用を配分。条件変更(借換え・リスケ)は認識中止か帳簿価額修正かを判定する。
解説を見る 出典: 移管指針第9号 / IFRS 9(EIR・B3.3.6) / ASC 310-20/470-50
- 返済・条件変更時 認識の中止・移転・継続的関与 比較 ♻ 共通ユニット
債務が消滅したとき、または条件変更が実質的なとき認識を中止する。
解説を見る 出典: 企業会計基準第10号 / IFRS 9.3.2 / ASC 860
- 各報告日 表示・相殺・開示 比較 ♻ 共通ユニット
金融負債として表示し、相殺要件を満たす場合は純額表示を検討する。
解説を見る 出典: 移管指針第9号第140項 / IAS 32.42 / ASC 210-20-45-1
金利スワップ(デリバティブ)
金利スワップで金利変動リスクをヘッジする
- 当初・各期末 デリバティブ・組込デリバティブ 比較
デリバティブは原則すべて公正価値測定。時価変動は純損益へ(ヘッジ会計適用時を除く)。
解説を見る 出典: 企業会計基準第10号・適用指針第12号 / IFRS 9 / ASC 815
- 各期末
- ヘッジ指定
- — 減損(予想信用損失・ECL/CECL) 比較 ♻ 共通ユニット このフローでは対象外
FVTPL のため減損の概念は適用されない。
解説を見る 出典: IFRS 9.5.5 / ASC 326/ASU 2016-13 / 企業会計基準第10号
- 決済・終了
- 各報告日 表示・相殺・開示 比較 ♻ 共通ユニット
マスターネッティング契約に基づく純額表示の可否を判定する。
解説を見る 出典: 移管指針第9号第140項 / IAS 32.42 / ASC 210-20-45-1
レポ・現先取引
保有債券を使って短期資金を調達する
債権譲渡・証券化
保有債権を譲渡(証券化)して資金化する
- 譲渡時 認識の中止・移転・継続的関与 比較 ♻ 共通ユニット
譲渡した金融資産を認識中止できるか(pass-through 要件・リスクと経済価値の移転・支配)を判定する。
解説を見る 出典: 企業会計基準第10号 / IFRS 9.3.2 / ASC 860
- 継続的関与
- 各報告日
論点ユニット(再利用部品)
解説は下記のユニットに「1 か所だけ」定義し、上の各フローはこれを参照します。基準改正があれば、 ユニットを 1 つ直すだけで、参照する全フローに反映されます。
自社の契約が金融商品に当たるか(範囲)、いつ貸借対照表に載せるか(約定日基準/受渡日基準)、最初にいくらで計上するか(公正価値+取引費用の扱い)——この入口3点を判定します。取引費用は、償却原価区分では金融資産は取得価額に加算・金融負債は当初認識額から控除し、FVTPL/FVO 区分では即時費用化するのが基本です。
使用フロー(3): 債券投資 · 株式投資 · 借入・社債発行
解説記事へ金融資産は、事業モデルと契約上のキャッシュフローの特性(SPPI 要件)により、償却原価・FVOCI・FVTPL のいずれかに分類します。分類によって評価方法・評価差額の行き先(純損益か OCI か)・リサイクリングの有無が決まります。日本基準は保有目的区分、US GAAP(ASC 320/321)は証券種類別の区分を採ります。
使用フロー(2): 債券投資 · 株式投資
解説記事へ借入金・社債・転換社債などの金融負債は、原則として償却原価で測定し、売買目的等は FVTPL、IFRS・US GAAP では公正価値オプション(FVO)も選択できます。FVO 選択時の自己の信用リスク(own credit risk)の変動は OCI 表示が原則です。日本基準には FVO がなく、own credit risk の OCI 表示もありません。
使用フロー(1): 借入・社債発行
解説記事へ償却原価区分の金融資産・金融負債は、実効金利法(EIR)で利息を期間配分します。取引費用は当初帳簿価額に組み込み EIR に反映させます。借換え・リスケなどの条件変更では、認識中止(新規計上し直し)か帳簿価額修正かを判定します。10% テストは IFRS 9 と US GAAP 借手にのみ存在し、日本基準には明示的な定量基準が現時点で確認されていません。
使用フロー(2): 債券投資 · 借入・社債発行
解説記事へ公正価値は出口価格(測定日に資産を売却・負債を移転する際の価格)として測定し、評価技法(マーケット・インカム・コスト)とインプットの観察可能性に応じた3レベルのヒエラルキーで分類します。3基準はほぼ収斂しており、残る差異は Day 1 損益・NAV 簡便法・日本固有の適用範囲などです。
使用フロー(5): 債券投資 · 株式投資 · 金利スワップ(デリバティブ) · レポ・現先取引 · 債権譲渡・証券化
解説記事へ信用リスクの状態に応じて予想信用損失(ECL)を計上します。IFRS 9 は信用リスクの著しい増大で12か月 ECL と全期間 ECL を切り替える3ステージ、US GAAP(CECL)は当初から全期間損失を一括見積りする単一測定です。償却原価・FVOCI の負債性金融商品が対象で、持分性金融商品や FVTPL は対象外です。
使用フロー(3): 債券投資 · 株式投資 · 金利スワップ(デリバティブ)
解説記事へデリバティブは原則としてすべて公正価値で測定し、評価差額を純損益に計上します(ヘッジ会計を除く)。複合金融商品に組み込まれたデリバティブは、一定要件で区分して測定します。金融資産がホストの場合は区分しない(IFRS 特有)、管理上区分していれば区分処理が認められる(日本特有)などの差異があります。
使用フロー(1): 金利スワップ(デリバティブ)
解説記事へヘッジ手段とヘッジ対象の関係を要件に従って指定し、評価損益の認識タイミングを調整します(任意適用)。公正価値ヘッジ・キャッシュフローヘッジ・在外純投資ヘッジの3類型があり、繰延ヘッジではヘッジ手段の損益を OCI に繰り延べます。適格要件・有効性評価・中止とリバランスの規律が定められています。
使用フロー(1): 金利スワップ(デリバティブ)
解説記事へ金融資産を譲渡したとき、貸借対照表から除外(認識中止)できるかを判定します。IFRS 9 はリスクと経済価値の移転・支配・継続的関与で、US GAAP(ASC 860)は支配の喪失(法的隔離・自由な処分等)で判定し、日本基準は財務構成要素アプローチを採ります。証券化・ファクタリング・レポ・担保付融資の入口となる論点です。
使用フロー(6): 債券投資 · 株式投資 · 借入・社債発行 · 金利スワップ(デリバティブ) · レポ・現先取引 · 債権譲渡・証券化
解説記事へ金融資産と金融負債を相殺して純額表示できるかは、法的に強制可能な相殺権と純額決済の意図(または同時決済)で判定します。判定フローで法的権利・意図・証憑を確認し、貸借対照表の表示と注記(5列表など)に反映します。
使用フロー(6): 債券投資 · 株式投資 · 借入・社債発行 · 金利スワップ(デリバティブ) · レポ・現先取引 · 債権譲渡・証券化
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